日本では、水道水の殺菌を目的として、水道法により0.1ppm以上の塩素濃度を保つように定められています。
問題はこの0.1ppm以上の「以上」というところです。これは、0.1ppm 以上であればいくら濃くてもよいことを意味しています。
美味しい水の目安としては、0.4ppm以下と言われていますが、
日本国内の水道水中の残留塩素濃度は、衛生面を優先する傾向からか、 0.4ppmを大きく上回る値が、多く見受けられます。
東京、大阪、福岡等の大都市では1.0~1.2ppm、他の地方都市においても0.6 ~ 1.0ppm の高濃度の塩素が含まれています。
一方、ヨーロッパ諸国では、地下水を水道水の原水にすることが多く、水が元々きれいなこともあり、塩素が注入されていないか、あっても0.1ppm 以下と規定されている国が多いのです。
水道水が美味しくないとされるアメリカでも0.05ppm前後です。
日本は川の水を原水にすることが多く、川の水がかなり汚れていること、さらには浄水場において急速ろ過方式といって大量の塩素と薬品によって水を浄化する方法が採られていることもあり、
日本は世界でも類を見ない高濃度の塩素が水道水に含まれており、諸外国と比較すると5 ~ 15 倍程度多いと考えられます。
塩素は食塩から苛性(かせい)ソーダ(化学工業には必ず必要な物質)を造る際に、副産物として大量にできる薬品です。
低コストな上、殺菌力も強く、その消毒効果は絶大です。これまで、コレラや赤痢やチフスといった恐ろしい伝染病を防ぐ役割を果たして来た反面、塩素の危険性についてはあまり知られていません。
「塩素は無害な薬品で少量の使用なので問題ありません」という触れ込みですが、
わずか0.1ppmで菌を完璧に殺すことができる薬品が諸外国の5 ~ 15 倍含まれている水道水が本当に安全なのでしょうか?
塩素(Cl2)は水と反応し次亜塩素酸(HClO)を生じ、続いて塩酸(HCl)と活性酸素(O)に分解します。
この活性酸素は他の物質に対して強い酸化作用を及ぼし、殺菌あるいは漂白等の有益な作用を示すと同時に、組胞を破壌し人体に悪影響を及ぼすとの研究結果があります。
塩素は、肌に触れると、酸化作用によって細胞のタンパク質を溶かします。
この細胞の溶解によって、人体は様々な影響を受けるのです。
ちなみに、魚を飼ったことがある方はご存知でしょうが、水道水を飼育に用いる場合は必ず塩素を中和する必要があります。
塩素がエラの細胞や粘膜を溶解してしまうので、塩素が含まれる水の中では、 魚は生きていくことができません。
人間ではすぐに命にかかわる事は無いにせよ、塩素の害の影響は少なからず受けていると考えられます。
飲用水には浄水器やペットボトルなどの水を使う人が増えていますが、
水道水でお米を研いだり、野菜を洗ったり調理したりすることで含まれるビタミンなどの栄養素も失われます。
シャワーを浴びたり、お風呂に入ることでも、気化した塩素やトリハロメタンを吸引したり、肌荒れの原因になります。
さらには塩素は血管障害を引き起こし、心臓病や脳卒中の原因になるとも言われていますし、アレルギー疾患そのものとの関連も取りざたされているのです。
また、水道水に含まれるトリハロメタンは、消毒で使われる塩素と、水中に存在する有機化合物の反応で生成されます。
つまり、トリハロメタンの元は塩素なのです。すなわち塩素濃度が高くなればなるほどトリハロメタンの生成は多くなります。もちろん発がん性も指摘されています。
水道水に含まれている塩素の影響は少なくありません。
本来であれば、湧き水・井戸水などの自然な水が身体には一番です。
しかし水道水を使わざるを得ない現状では、
健康のために飲用水や調理に使う水、さらにお風呂やシャワーなどに使う水の塩素を浄水器などで出来るだけ取り除く必要があるでしょう。
家全体の水を浄化するタイプの浄水器が理想的ですが、
すぐに出来る対策として、
◎キッチンの蛇口に浄水器をつける。
◎塩素を取り除くシャワーヘッドに交換する。
◎お風呂にはビタミンCを入れる(風呂200ℓに対し0.2g〜0.6g)
などで塩素の害を減らすことが可能です。